SRS~戸籍変更まとめ

FTM

【はじめに】

僕自身が、SRSやその後の手続きについて調べていた際に、
正しい情報が中々見つからず、見つけても具体的な内容が無く、
とてもわかりにくかった経験から、
情報を集めている当事者にとって少しでもお役に立ちたいと思いまとめました。

また自分以外のFTMの方だけでなく、当事者の周囲の方へ少しでもお力になれればと思い、
僕のSRS(子宮摘出)前からオペ後、戸籍変更までの出来事やオペ後の状態、手順についてまとめました。

オペ直後の感覚はその時の感覚をあえて文字に起こしてあるだけにしてあります

また物価高騰につき価格について変動があるかもしれません。
予めご了承ください

【背景〜オペまで】

まずは簡単にオペに至るまでの経緯をご紹介します。

僕は20歳で胸オペをし、ホルモン治療を開始しました。
思い出す限り記憶では…
胸オペが先で、ホルモン治療を開始しました!
おそらく大半は心療内科や精神科に通って自分史書いたり、
診断書を得てからスタートかと思いますが、僕は異なります。
本来初回の診断書をもらうには半年~1年程の通院が必要です。

胸オペとホルモン治療で約10年間、性別変更と改名をせず、過ごしてました。
やはり手続き上や、「女」という文字がある事が
自分でも不思議な感覚でいつも違和感が付き纏いました。

でもコロナのご時世だし、タイに行くのも不安だし、そもそもお金が無いっ!!
そして何でわざわざ手術しないと変更できないのか…
時代が変わり、必須項目から外される事を祈っておりました。
それはそれは毎日葛藤しておりました。

そんな事を考えながら30歳になったら何か変化がほしいとふと思い立ち、
30歳を迎えた年の4月初旬に国内でSRS(子宮摘出)ができて、
ローンが組める病院の存在を知りました。

恵比寿TGクリニック」とまさに運命の出会いでした。

やるなら国内が良いけど、予約が取れないし…
でもタイでやるのはなんとなく不安…
傷とかも出来れば避けたいな~
なんて人には必見です!



相談と実際にローン組めるか確認だけ…と考えながら病院へ行ったところ
トントン拍子に話しが進みました。

院長先生はめちゃくちゃ温厚で優しい方で、
「いつがいい?」
とか聞かれて、
「えっ?むしろいつなら出来るんですか?」
っていうくらいのやり取りをしました。

これまでの概念では日本ではオペ待ちで1年以上待つとか
タイに自力で行くか、アテンドつけるかの2択くらいだと
思っていたので、拍子抜けしました…

恵比寿TGクリニックでは何と、
お腹に傷が残らない且つ、回復が早いという
膣式方式」という手法を行っております。
(この時に膣の状態を見る為、エコー検査や膣に器具を入れました)

そして無事、問題なくオペできるということで、
ローンの審査を申し込み、30分後くらいで審査が無事通過し
6月にオペの予約を取りました。

検査時に問題なくても、オペ中に癒着があった場合などは開腹になる事もあるので
その辺りの事は、先生によく話を聞いてみてください。
医院長先生を始め、看護師さんたちはめちゃくちゃ優しいですし、
テキパキしてて、僕史上一番信頼をしている病院です!!

オペの2週間~1か月前くらいに術前検査があります。
この術前検査時に必要なものがいくつかあります。

・胸部レントゲンと心電図
(他院で行う為、自分で探す)
・精神科診断書2通
(こちらは病院をご紹介してくれます)
これらを用意してから術前検査で
・肺活量、血液検査
をしました。

オペ前までに自分で行うものがあって
・PCR検査(簡易キットで可能)
・一週間前に陰毛の除去
・手術着を手に入れる(ネットで購入できます)
・前日に下剤服用し、当日朝に陰部の清掃をする

これで準備は整い、いざオペ当日へ!という流れです。

コロナ禍もあり、入院は付き添いはNGだったのですが今はどうなんでしょうか?

【オペ当日】

手術前日は15時まで飲食可。
当日は8時まで飲み物はOK
9時頃から病院で待機で順番待ちをします(ホテルのように綺麗な個室に案内されました)

到着してからはまずやる事は、手術着に着替えること。
そしてこの時にできるだけベットのそばに必要なものを
予めセットしましょう!

オペ後5時間くらいは起き上がるのも厳しいので、
スマホの充電器や、飲み物は必須です。
ペットボトルのキャップにストローがつけられるものも
100均で売ってますので、これは購入しておいて損はありません。
寝たままの水分補給が可能なので、ぜひ用意しておきましょう!

さて、一日に3人のオペをするようで、
僕は2番目でした。
順番は病院に着いたときに教えてもらえます。
遠方の方から優先されていた印象を受けました。

11時くらいの予定と伝えられましたが、
10時頃には手術着に着替えたり、
点滴打ったりしてたら案外早く時間が経ちました。
そして10時15分頃からオペ室へ移動しました。
何もなくスムーズに行けば1時間くらいでオペは終わるようです。
本当にあっという間に待ち時間が過ぎるので、オペ後の身の回りの準備を
忘れずに行いましょう!

オペ室に入ったら点滴から痛み止め?を入れて脊髄注射をされます。
僕は注射が苦手なので、敏感に反応しましたが予想よりは痛くなかったです。
体感ではネビド打ってる方だったらネビドの方が痛いと感じるくらいです。

脊髄注射後、すぐに足がぽかぽかし始め、目安だとアルコール綿?で
触れられて冷たさを感じるかどうか?を確認されました。
ずっと感じていたため追加しました。
感じなくなったら麻酔で眠ります。

足がぽかぽかと感覚がなくなって変な感じと考えてたら意識無くなりました。

オペ室でまたおそらく点滴から薬を投与し
目を覚ましてもらって摘出した子宮を見せてもらいました。
予想以上に小さく、拳より小さいなという印象でした。
子供をお腹で育てるのも、産むのも神秘的で、母って凄いなと思いました。

11時40分くらいに部屋戻ってきたかと思います。
なのでオペ自体は45分くらいで終わるという…

長年の悩みが一瞬過ぎて、拍子抜けしました。

【オペ直後】

※これはその時、その時間に感じた痛みや状態を書いてます。

12時20分
足と下半身の感覚がなくぽかぽかしてる。
首や手は動かせるが上半身を動かすのに力が入らないため身動きが取れない。少し眠い。

大事なことなのでもう一度!
※オペ前に枕元に必要なものを置いておいた方がいいです!!
水、充電器など!特に充電器は、延長コード持っていくのが良いと思います。

ここからはオペ直後の様子を書きます。

13時頃
足の感覚が戻らないことへの違和感。
下半身は力が入らない。
背中の肩甲骨より下の腰あたりがズンっという感じ。
目と鼻、口の中が痒い。
ずっと痒くて花粉症のひどい時のような。
とにかく痒い。

14時頃
我慢できなくて痒みを訴え、薬を点滴から投与。
アレルギー反応出ることがあるようです。
(薬は少し眠くなるらしい)
腰あたりが少しずつ感覚戻ってきたのかふわふわする。
下半身は力が入らない。
上半身を動かそうとすると頭がクラッとする。
吐き気とかはない。

15時頃
膝が少し動かせるようになる。
上半身を捻って膝が動いたように感じるくらい。
でもフワフワして力が入らず、動かせない。
つま先は感覚なし。
上半身を動かすと少しクラっとする。

16時30分頃
看護師から2日後に行うドレーンの抜き方教わる。
少しずつ感覚が戻ってくる。

17時頃
この辺りには少し痺れているように感じるが、足先のストレッチができるほどに感覚が戻る。

18時頃
足の自由が戻り、痺れもなくなったため、退屈感を感じる。
足先を伸ばしたりのストレッチしていいが、上半身は起こしちゃだめ。
寝返り程度はOKだそうです。

19時頃
15時くらいから冷房を18度設定にしてるが、暑く感じる。
どうやら体の免疫反応?らしい。
2週間以上続く場合は異常有りの可能性があるため要連絡。
人によって1週間くらい38度くらいの熱が出るそうです。
下腹部の痛みは少しあるくらいで、特別気にならない。

21時頃
睡眠導入剤を点滴で入れていく。
30分くらいで眠くなると聞くが効果なし。

22時頃
頭がぼーっとして薬が効いてきたのがわかる。
目を閉じるとグワンとする。
酔っ払って頭がヤバい時のような感覚

23時頃
眠れそうなのに眠れなくて、自前のマイスリーを服用する。
23時30分から0時半くらいまで寝た模様。
0時半以降少しうとうとするも1時半には眠れなくなる。

眠れなくなる人もいるのは、普段と違う環境や、オペ後で興奮しているなど色々とあるようです。
退院は翌日の朝7時で、5時半くらいから先生の診察が回ってくるから
無理して寝ようとせず、退院してからたっぷり寝てくださいとのことでした。

個人的に今回感じたのは、退院時は出来る限り迎えきてもらったり、
数日はサポートしてくれる方に甘えた方が無難かと思います。

1日を通して、術後は耐えられる痛みで、生理痛が重いような感覚です。
足の感覚が戻るまでが、一番キツかったです。
オペ後の5時間くらいがピークでしたね。

時々内臓がグッと動いてるような感覚はありますが、激痛という事は無かったです。

術後の出血は人によるそうで、
内部に溜まってた血や、力んで縫い目が取れたり、
糸が溶けるタイミングなどにもよるとのこと。
ナプキンでは吸収できないため、数日は紙おむつが良いそうです。
その後はダラダラと続く事があって1ヶ月半は様子見たほうがいいそうです。

ちなみに僕はびっくりするぐらい出血が無く、
数日は続くと言われた出血すらなかったです。

同じオペを経験した方にも聞きましたが、皆バラバラでした。
1か月~2か月続いたっていう方もいらっしゃいました。
こればっかりは、オペしないとわからないので、ある意味賭けでした。

退院はオペ後の翌日の朝なので、カテーテルは自分で抜くことになります。
手順通りにやれば痛みはありません。
2日後に抜きます。

オペ後5日後くらいから身体に余裕が出てきますが、
無理して動くと縫った場所が取れてしまうなどのリスクもあるので5日~7日は安静に
するのを推奨します。せっかくのオペが台無しにならないためにもまずは安静を優先に
して頂きたいと思います。

変な話大便が出せるようになると、ビビるぐらい身体の調子が良くなりました。

ちなみに看護師さんたちも巡回してくれますし、取ってほしいものがあれば
対応してくれます。
またLINEで連絡するとすぐに来てくれます。
※後日でも連絡すると返信くれますので、心配事とかあったら我慢せずに
聞くのがいいと思います。

これは最後に重大なのは、オペ後は即日退院なので、
出来るだけ車を出してくれる友人でも、家族でもなんでもいいから、
とにかく車で帰宅することを推奨します!

遠方の方もできるだけ車を運転してくれる方にお願いをしてください。
タクシーや電車だとマジできついと思うので!
助手席でゆっくり休みながら、近くのホテルに滞在したり、
サポートしてもらう事が一番です!

気を付けなければいけないのはオペ後の出血!
無理して動いて癒着する前に縫合した部分が~…!なんてことに
ならないためにも、まずは安静にしてください。
ここが一番の耐える時です。
周囲の皆さんも出来る限りサポートをしてあげてくださいませ。

【戸籍変更(性別変更)に必要な書類】

さて、無事オペが終わり、ようやく戸籍変更の手続きをしなくてはいけません。
必要な書類は以下になります。

  • 手術証明書
  • 戸籍変更用の診断書
  • 戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 収入印紙
  • 郵便切手

・手術証明書(オペ後に主治医から貰う)
・戸籍変更用の診断書
こちらは2名の連名か、2通でFTMの診断書をもらった病院で書いてもらえるかと思います。
治療開始時の診断書とは異なるので要注意です。

診断書のメインがファースト、二人目をセカンドと呼びます。
僕はファーストが早稲田通り心のクリニックでセカンドが表参道のアマラクリニックです。
早稲田は初診は予約が必要だったかと思います。2回目以降は予約不要です。
何年ぶりかで久々にお世話になる場合でも予約不要でした。
アマラは予約制ですが、当日でもスムーズに対応して頂けます。

診断書の価格は
早稲田→23,220円
アマラ→ 6,730円

診断書を用意するのに時間がかかるため、
オペ日が決まったら先に伝えておく事をオススメ致します。
予め準備してくれるので、先にファーストは済ませて
セカンドの予約を取っておくとスムーズかと思います。

・戸籍謄本(全部事項証明書)
本籍地で取得。1200円かかりました。

・裁判所に提出する申立書
こちらは裁判所のホームページから記載例、フォーマットをプリントできます。
書くのが意外と面倒なので、別の記事でポイント等解説したいと思います。
僕ので良ければ参考文章お伝えしますので、個別でご連絡頂ければと思います!

・収入印紙800円分(200円を4枚)

・申立書の郵送時とは別に郵便切手
※これは各家庭裁判所によって料金が異なるようなので、電話で確認した方が良いです!
性別変更の申立を行いたい旨を伝えれば教えてくれます。
事務的な感じで普通の対応だったので、怖がらなくて問題ないです。
ちなみに東京の立川家庭裁判所は84円が4枚、10円が4枚でした。

(僕は不安だったので手術証明書も同封しました)

戸籍変更には時間がかかるため、事前に出来る事は先に取り掛かる事を推奨しております。
裁判所の提出先(住所・部署・宛名)は事前に確認しておいた方がいいのと、
申立書も記入しておくと後々楽です!

提出先(郵送先)は自分が現在住んでいる住所地を管轄している家庭裁判所です。
家事手続き、家事裁判、家事受付を担当している部署宛です。
ネットであれこれ調べるより、一旦管轄の家庭裁判所に電話で
再確認した方が余計な手間省けますし、確実です。

提出してから裁判所から連絡来るまで2週間程かかりました。
ちなみに郵送ではなく、直接裁判所に行きその場で提出する方法もあります。
必要書類は同じです。
そして直接出向く方が早いです!
地域によって差はありますが、郵送よりも1週間くらいは早いので、
近くに管轄している裁判所があるなら直接を推奨します。

【戸籍変更後の主な手続き】

そしてついに裁判所から性別変更を認められた書類が手に入ったら
確実にやるべき項目は以下です。

  • マイナンバーカード
  • 健康保険証
  • 年金手帳
  • クレジットカード
  • 銀行

・マイナンバーカード
性別変更後に市役所へ行ってその旨を窓口に伝えればOKでした。
備考欄に女→男と記載したものを使うか、再発行するかのどちらかで、
僕の場合は再発行手続きをしました。
3枚くらい?マイナンバー窓口で言われた通りに用紙に必要事項を記載して、
マイナンバーカード用の写真を持っていけばOKでした。

後日市役所にマイナンバーカードが届いたらお知らせしますので取りに来てください。って感じです。
僕は再発行しましたが、この時元々持っていたマイナンバーカードの備考に女→男と記載されました。そして3週間程で新しいマイナンバーカードを手に入れました。
ちなみに料金は無料でした。
自治体によっては異なるかもしれません。

・健康保険証
国保だったので、役所から性別変更の書き換えが終了した通知書とともに
保険証も同封されておりました。
古いものは郵送で返却します。
特に何も必要ありませんでした。

・年金手帳
年金事務所から性別が異なっておりますと通知がきて
郵送でも対応できるようですが、早く新しいのがほしくて
管轄の年金事務所へ行って手続きしました。
受付でその旨を伝えて必要書類に記載して、新しいものは、郵送で自宅に届くそうです。

こちらは性別変更がされた旨が書いてある戸籍謄本または、戸籍抄本が必要です。
僕は戸籍抄本で手続きしました。

年金手帳が一番遅かったです。
2か月くらい届きませんでした。

・クレジットカード
楽天カードでしたが、電話一本入れれば終了しました。
性別の表記は変えられないようですが、電話で伝えれば問題ないようです。

・銀行
近くの支店に行って直接手続きをします。
窓口で性別変更の旨を伝えればOKです。
念のため裁判所の性別変更の書類を持って行きました。
担当の方が不慣れだと困らせてしまうので、
裁判所の書類を持参することを推奨します。

【終わりに】


僕はSRSが性別変更の条件では無くなることを期待して生きていました。
もちろんSRSはする事を考えていましたが、
リスクや副作用がまだまだ不明な点も多く、そこが悩み所でした。
でも死ぬ時にこのままの身体じゃもっと嫌だ!って思ったのと
些細な事かもしれませんが、
病院へ行くとき、身分証を出すとき、転職するとき…挙げ出したらキリがないくらい!

見た目は「男」なのに、毎回「女」という表記一つで
嫌な思いをし、扱いによっては傷つくのです。

遅かれ早かれ今だな~と思ったタイミングで
恵比寿TGクリニックに出会い、トントン拍子で事が進んだので
自分にとってはまったく悔いのない選択でした。

僕はオペを推奨しているわけではありません。
ただ、日々悩んでいる方や、オペ後どうしたらいいのか?
と悩んでいる方のご参考になれば…
と思い書き起こしたものです。

ちなみに僕は改名はしませんでした。
女の名前と言われることもありますが、素敵な名前と言われることもあります。
そもそも名前一つでワーワー言う人とは距離を置くことを学びました!
堂々としていれば、良いと思います。

オペしてるから男だとか、何もしてないのは女だとか
そういう偏見がオペに対する気持ちを加速させてしまう要因の一つかと考えています。
人それぞれの人生ですから、自分が生きやすいようにしてほしい、

そして性別で判断するのではなく、ただただ一人の人間として扱ってほしい。
ただそれだけです。それを当たり前のように受け入れる社会になる事を願っています。


この実体験が一つの正しい情報として伝わりますよう願っております。

オペしてからやるべきことはたくさんありますが、ここに書いてあるように
準備をしながら、進めていけば、それが一番の早道だと思います。
不安な点や、質問も随時Twitterで承っておりますので、お気軽にご相談くださいね


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